平成 6年 9月 定例会 平成6年
和歌山市議会9月
定例会会議録 第3号 平成6年9月27日(火曜日)
議事日程第3号平成6年9月27日(火)午前10時開議第1
会議録署名議員の指名第2
一般質問 ----------------------------会議に付した
事件日程第1
会議録署名議員の
指名日程第2
一般質問 ----------------------------出席議員(41名) 1番 井口 弘君 2番 姫田高宏君 3番
武内まゆみ君 4番 角田秀樹君 5番 青山 稔君 6番 山下直也君 7番 新島 雄君 8番 佐伯誠章君 9番 浅井武彦君 10番
永井佑治君 11番 森田昌伸君 12番 寺井冨士君 13番 麻生英市君 14番 山田好雄君 15番 田上 武君 16番
藤井健太郎君 17番
森下佐知子君 18番
新川美知子君 19番 森本保司君 20番 浦 哲志君 22番
柳野純夫君 23番 平田 博君 24番
石谷保和君 25番 吉田光孝君 26番
小河畑喬夫君 28番
宮本廣次君 29番 東山照雄君 30番 大艸主馬君 31番 辻本昌純君 32番 南 徹治君 33番 滝口直一君 34番 堰本 功君 36番 奥田善晴君 37番 高垣 弼君 38番
武田典也君 40番 岩城 茂君 41番 浜野喜幸君 42番 山崎 昇君 43番 中谷 悟君 44番 九鬼嘉蔵君
欠席議員(2名) 21番 波田一也君 39番 西殿香連君
--------------説明のため出席した者の職氏名 市長
旅田卓宗君 助役 得津 勇君 助役 吉田眞三君 収入役 橋口敏彦君
市長公室長 中村 保君
企画部長 阿部俊彌君
総務部長 栢木 孝君
財政部長 上野 宏君
経済労働部長 川口眞夫君 農林水産部長 野口法夫君
民生部長 高垣芳男君
環境事業部長 大浦宗吉君
保健衛生部長 和佐 慶君
都市計画部長 宮本 忍君
土木部長 井上隆勝君
下水道部長 榊 常次君
建築部長 加藤智弘君
教育委員会委員長 玉井千夫君 教育長
浅井周英君
教育総務部長 堅山喜弘君
教育文化部長 坂口全彦君
消防局長 中村清一郎君 水道局長 川端源一君
水道局業務部長 矢田彰吾君
水道局工務部長 臼井貞行君
選挙管理委員会委員長 貴志久治君
代表監査委員 伊藤松雄君
公平委員会委員 永田義男君
--------------出席事務局職員 事務局長 中森純一郎 事務局次長 南方 智 参事補 岡本清春
議事調査課長 松本 功
調査班長 山ノ井義雄 議事班長 池端 弘 主査 濱治 匠 主査 川口隆弘 主査 尾崎順一 主任 田畑和久 主任 石本典生 主事 中西 太
-------------- 午前10時13分開議
○議長(岩城茂君) ただいまから本日の会議を開きます。
--------------
△日程第1
会議録署名議員の指名
○議長(岩城茂君) 日程第1、
会議録署名議員の指名を行います。 本日の
会議録署名議員は、
会議規則第80条の規定により、議長において
石谷保和君
柳野純夫君 大艸主馬君 以上3人の諸君を指名します。
--------------
△日程第2
一般質問
○議長(岩城茂君) 次に、日程第2、
一般質問を行います。 順次、質問を許します。--17番。 〔17番
森下佐知子君登壇〕(拍手)
◆17番(
森下佐知子君) おはようございます。 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、ただいまより
一般質問を行います。 まず、保育問題についてお伺いいたします。 1993年2月、
社会保障制度審議会・
社会保障将来
像委員会が第1次答申を出し、「21世紀に向けての
社会保障の理念やあり方」をまとめました。それと同時に厚生省は、1992年末に提案した
公立保育所保母の人件費 1,100億円を措置費から削減するという方針が、反対が多く見送ることと引きかえに
保育問題検討委員会を設置、
保育制度全体の見直しを行うという方針を打ち出しました。
保育所運営や制度、
費用負担などの問題について、十分な論議が尽くされたとはとても言えないまま、突然11月、厚生省は「直接、あるいは
契約入所方式」導入を柱とした
制度改革を提起しました。これに対し
保育関係者が、これまでにも保育の
公的保障の拡充を求め運動が全国で展開されてきましたが、今回もさまざまな異論や反対意見が出され、
検討会自身、取りまとめが大幅におくれたようであります。 そういう中、ことし1月19日に出された報告書は、直接あるいは
契約入所制度とともに、
措置制度の改善、拡充の主張との両論を載せざるを得なかったのです。 それはなぜか。
児童福祉法に基づく
保育所措置制度は、保育に欠ける子供の権利、保育所を利用する権利を公的に保障する制度の枠組みを明確にうたっているものだからです。 厚生省は「直接
入所方式」を導入する際、
措置制度は
制度疲労を起こしているということを盛んに言っていました。しかし、この
措置制度をめぐる基準や国からの通達の内容が、
社会発展や実態を踏まえて改善されているのかどうか、これがまず第1に問われるべきではないでしょうか。全国的にも、保育料が高い、
入所基準が厳しく手続が複雑、
延長保育やゼロ歳児保育、
産休明け保育が不十分である、
育休明けの途中入所が困難など、保育所は入りにくいところになっているのも事実です。しかし、このような実態の原因が
措置制度そのものにあるという考え方は、問題点のすりかえと言わなければなりません。 入所の基準は相変わらず厳しく、最低基準は25年余り何らの改善もされていないのが実情です。また、措置費の内容は
初任給並みの低い人件費である一方、国基準の保育料は驚くほど高く、最高額は3歳未満児で約8万円から10万円にも上っています。このようなひどい基準に実態が合わず、大抵の自治体では、保母の加配や保育料の軽減、
民間保育所への補助など
市町村負担で何とかやりくりしていますが、既に限界に来ている自治体も少なくありません。利用しやすい保育所にしようと思えば、こうした国の基準や補助金の内容を、実態を踏まえて改善することこそ、今一番求められているのではないでしょうか。 以上のことからお尋ねをいたします。
保育問題検討会が打ち出した直接
入所導入案をもとに、現在も協議が進められています。自治体の
超過負担を減らしていくためにも、
児童福祉法に基づく
保育所措置制度を堅持し、拡充するよう国に対し強く働きかけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
関係部長にお尋ねをいたします。 また、この直接
入所方式に対する市長のお考えをお聞かせください。 次に、
乳児保育についてお伺いします。 女性の
社会進出に伴い、保育に対する要求は年々多様化してきています。中でも
育児休暇が制度化され、この制度を積極的に利用する女性もふえています。どの職種にも
育児休暇制度が実質的に適用されることが望まれますが、まだまだ
産休明けからやむなく、あるいはみずから職場へ復帰する例もたくさんあります。 こういう声にこたえて、本市でも乳児の
受け入れ枠を拡充するなど、一定の成果が見られました。しかし、今後ゼロ歳や
育休明けからの入所を希望する声はもっとふえるでしょうし、現在も
待機児童の中で最も多いのがゼロ、1歳であることを見ても、さらに拡大していく必要があると考えます。 以上のことから、
関係部長にお尋ねをいたします。
乳児保育の
早期充実・拡大のための
人員配置計画、乳児枠の
設置計画、また、途中入所への対応をお聞かせください。 次に、東部の
町づくりについてお伺いいたします。
町づくりにかかわっては、いろいろと視点がありますが、今回は
東部地区区画整理についてお伺いをいたします。 本市では、
東部地区を和歌山市における「21世紀の副都心」と位置づけ、昭和42年より東和歌山第一地区を、昭和49年には第二地区を、ともに
区画整理事業により開発を進めてきました。さらに、
東部地区区画整理事業を進めるための調査が昭和60年より開始され、来月早々には
区域決定が予定されていると聞いております。 さて、
区画整理は
町づくりを進めるための方法の一つであり、事業の進め方によっては有効な方法と言えます。それは、とりもなおさずそこに住む
地域住民の納得と合意を前提とした住みよい
町づくりの手段として、あくまでも民主的に行われることを指しています。しかし、我が国では高度成長以来、
道路用地の安易な取得、あるいは
民間開発の誘導策として急激に
区画整理事業が浮上してまいりました。残念ながらそういう中で、行政や大
土地所有者、開発会社の思惑が何よりも優先されたという例も少なくありません。
区画整理それ自体の是非はともかくとして、
東部地区の
区画整理が今まさに始まろうとしている中、そこに住んでいる方々の生活に心を寄せていくことが何より大切であると考えます。
区域決定を前に説明会も開かれたようではありますが、
土地区画整理法は、数ある法律の中でも殊に複雑でわかりにくい中身と聞いています。住民との合意を得、事業をこの先円滑に進めるためには今のこの時期が最も大切で、時間をかけるべきときではないでしょうか。 以上のことから何点かお尋ねをいたします。
区域決定や
法的手続をする前に、地元の地権者、住民に対する説明を丁寧に行い、事業の中身を知らせる必要があると思いますが、そのための具体策をどのようにお考えでしょうか。
関係部長にお尋ねをいたします。 これから事業を進めるに当たって、今が最も大切な時期だと考えます。しかし、住民や地権者の方々と直接的あるいは専門的にかかわる担当者は1人と聞いています。これでは円滑な事業の推進はとてもできないのではないでしょうか。体制の増員についてのお考えをお聞かせください。また、専門的な研修を十分受けた上で事業に臨めているのか、担当者の
担当期間も考慮に入れているかどうかも含めお答えください。
東部地域に位置する市駅小倉線は、和歌山市の主要な
幹線道路として
早期完成が待たれています。道路をつける方法としての
区画整理事業は、この場合なじまないと思いますが、いかがでしょうか。道路を優先してつける方法はないのか、お考えをお聞かせください。 以上をお聞かせいただきまして、第1問を終わります。(拍手)
○議長(岩城茂君)
旅田市長。 〔
市長旅田卓宗君登壇〕
◎市長(
旅田卓宗君) 17番
森下議員の御質問にお答えいたします。 保育問題でございますが、直接入所の問題についてお答え申し上げたいと思います。 今回、
保育問題検討会から提出された報告書につきましては、現行の
保育制度と
措置制度の見直しに対する検討会としての意見をまとめたものでございます。
措置制度の改善、見直しについての考え方の一つとして、現行の
措置制度に加えて、市町村を介さないで保護者が希望する保育所との契約により入所できる、いわゆる直接
入所制度を導入すべきであるということも提言されております。しかし、措置により入所する児童と契約により入所する児童との間に差別感が生じるおそれはないか、また、保育所の行き過ぎた競争により保育の質の低下につながるおそれはないかといった問題点もあり、さらに
十分検討を行う必要があるとの意見も出たようでございます。 本市といたしましては、直接
入所措置制度の導入等を行うことにより、
地方負担の増大あるいは保育の質の低下を来すおそれがないかどうか等を十分見きわめながら、今後の国の対応を見守ってまいりたいと考えております。 次に、
東部地区の
区画整理事業の問題でございますが、その体制についてどう考えているかという御指摘でございます。 本事業の積極的な推進を図るために、その組織体制の充実に一層努めてまいりたいと、このように考えておりますので、御理解いただきたいと思います。 次に、市駅小倉線は
区画整理事業以外の方法で考えられないかという御指摘でございますが、その点につきましては、
区画整理事業で施行することにより、
都市計画道路・市駅小倉線を含めた周辺の
整備区域の道路、公園等、
地区全域の面的に
総合整備が図られ、また、上下水道の整備はもとより、
東部地域の総合的な
都市基盤整備ができると、そのように考えておりますので、御理解賜りたいと思います。 あとは
担当部局がお答えいたします。
○議長(岩城茂君)
高垣民生部長。 〔
民生部長高垣芳男君登壇〕
◎
民生部長(
高垣芳男君) 17番
森下議員の御質問にお答えいたします。
児童福祉法に基づく
保育措置制度を堅持し、拡充するよう国に働きかけられたいとの問題でございますが、昨年2月に
保育問題検討会において、
保育ニーズの
多様化等、社会の変化に対応した
保育制度のあり方について検討しておりましたが、本年1月に
保育問題検討会報告書が出されました。この検討会では、利用しやすい保育所の確立と、児童が健やかに生まれ育つ
環境づくりの観点から、
保育制度と
措置制度のあり方について検討を加える中で、主に
措置制度のあり方を中心に論議がなされたようでございます。 報告書によりますと、現行の
措置制度につきましては、利用しやすい保育所を目指し、制度の
改善見直しを行う必要がある。
入所手続の簡素化を図る必要がある。また、保育についての不公平感の解消を図るべきである、等の問題点が指摘されてございます。 一方、直接
入所制度の導入案につきましては、措置により入所する児童と契約による児童との間に差別感が生じるとともに、保育所間の行き過ぎた競争により保育の低下につながるおそれはないかとの問題点も指摘されてございます。 本市といたしましては、直接
入所制度の導入につきましては、このような問題点のほか、地方自治体への負担の増大が危惧されるところでございます。そういった考え方のもとに、今後、
都市保育行政主管者協議会等、あらゆる機会を通じまして、現行の
措置制度を維持、拡充するよう国に要望してまいりたいと考えてございます。 次に、
乳児保育等について、
乳児保育の充実のため
人員配置計画、
設置計画についてでございますが、近年、女性の
社会進出の増加や就労形態の
多様化等に伴い
保育ニーズが多様化しております。本市といたしましても、これらのニーズに対応できるよう、
保育内容の充実と
保育体制の強化に努めているところでございます。
保育内容につきましては、
乳児保育、
障害児保育、長時間保育、緊急一時
的保育等といった
特別保育事業の拡充に努めてございます。特に
乳児保育につきましては、平成6年度に
公立保育所5カ所で3歳未満児の枠を拡大するとともに、ゼロ歳児保育につきましても、公・
私立保育所で前年度の37園から44園に拡充してございます。また、
産休明け保育につきましても、毎年拡大しているところでございます。 今後におきましても、さらに子育てと就労の両立を支援するため、
乳児保育の
受け入れ枠の拡大について、
学識経験者や公・
私立保育所の関係者で構成する和歌山市
保育所運営懇談会で
十分検討を加えながら、需要度の高い保育所から充実を図ってまいりたいと考えてございます。 また、
乳児保育の充実に伴う職員の配置や施設の整備につきましても、今後、計画的に整備、充実を図ってまいりたいと考えてございます。 なお、途中入所の
受け入れにつきましては、緊急を要する場合は緊急一時的保育で
受け入れてございますが、乳児で特定の保育所を指定された場合は、定員の都合で直ちに
入所措置ができない場合もございます。したがいまして、今後におきましては途中
受け入れにつきましても十分対応することができるよう、乳児の定員枠の見直しを行うなど、拡充に努めてまいりたいと考えてございます。 以上でございます。
○議長(岩城茂君)
宮本都市計画部長。 〔
都市計画部長宮本忍君登壇〕
◎
都市計画部長(宮本忍君) 17番
森下議員の御質問にお答えします。
区画整理事業を実施するに当たりまして、
地元地権者、住民に事業の内容等を明確に周知をとのことでございますが、本
事業実施に当たりまして、大方の手順といたしまして、まず
アンケート調査、これは62年に調査しております。そして
地元説明会。その内容といたしましては、
区画整理の概要の説明。この説明会は平成3年と本年において行っております。それから、再度の
アンケート調査を63年に行ってます。次に
都市計画決定、本年度において
施行区域の
計画決定を打ちたいと思っております。次に
事業計画、換地設計などの
法的手続等の説明を行うこととしております。 今後、御指摘の件につきましては、
事業実施に当たりまして、住民の方々の御協力、御理解は不可欠でございます。今後の課題といたしまして、説明会の内容等を十分研究してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(岩城茂君) 17番。 〔17番
森下佐知子君登壇〕(拍手)
◆17番(
森下佐知子君) 御答弁をいただきましたので、第2問をさせていただきます。もしかしたら順不同になるかもわかりませんが、よろしくお願いいたします。 まず、保育の問題ですが、国の
保育問題検討会で「直接
入所方式」ということが打ち出されたわけですけれども、これに対しての考え方は、その市町村に対しての
費用負担の増大がまず考えられるということで、市長の考え方あるいは
民生部長の考え方は、そんなにずれはなかったというふうに思います。 この国の考え方が提示されたときに、私は非常に驚きまして、率直に申し上げて、「国はここまで来たか」というふうに思いました。というのは、子育てというのは本来無償でなければならないと私は考えています。それにもかかわらず、競争原理をこの保育所の中へ持ち込むという考え方が国のところで明らかにされた。このことに私は本当に驚きましたし、背筋が寒くなる思いがいたしました。 今、子育てをめぐる状況がどのようになっているのかというふうに申しますと、新聞紙上などで、私だけではなくて
関係部局の方々、また先輩・
同僚議員の方々もいろいろと目にして心を痛めていらっしゃることもあろうかと思います。中でも私が非常に驚きましたのは、超
早期教育ということでした。もう
早期教育ではなくて、その上に「超」がつくそうで、おなかの中に赤ちゃんが宿ったときからもう
漢字カードを見せるとか、モーツァルトの曲を聞かせるとか、そういうことをやって、将来いい高校へ入れて大学までストレートに進ませるという、そういうことが、もう子供がおなかに宿ったときからされていると、そういう方向まで来ています。これにまさに拍車をかけるようなこういう国のやり方は、私は絶対に許すことはできないと思うわけです。(「そうや」と呼ぶ者あり) そういう中で、自治体がイニシアチブをとって国にぜひともこれは強く働きかけてもらって、
措置制度の堅持をお願いしたいというふうに思います。
措置制度は、私が申し上げるまでもなく、
先ほど答弁の中にもありましたが、直接入所できる
子供たちは、やはり少しでもいい保育所へ行こうとする。そうすれば保育所の中にも当然競争が起こるでしょうし、その中で、金銭的な部分でそのよしあしがはかられるということも当然出てくるであろうと思います。そういうことをそもそも行わないために、
子供たちが
措置制度を通過する中で、どの
子供たちも平等に保育所へ措置されるというのがこの
措置制度の中身だったはずです。そういう意味でも、この
措置制度を堅持していくということを強く働きかけていただきたい、強くお願いをしたいと思います。 それから、
乳児保育に関してですけれども、いろいろと積極的な御答弁もいただきました。今後も定員枠の見直しを考えながら、ゼロ歳児も入れていきたいというふうにお答えをいただきました。 今、非常に、
育休制度の導入に伴ってゼロ歳児あるいは1歳児を、その育休が明けた時点で保育所に入れたいと願っていらっしゃる人たちがふえているというふうに聞いています。そういう中で、私もいろいろと相談を受けるわけなんですが、子供は、前にも質問の中で申し上げたことがあるかもわかりませんが、4月の入所のときに必ずしも子供が
育休明けているわけではないですし、その時点で1歳に満ちているわけでもないと。そういう点からいくと、やはり1年を通じていつの時期でも母親が、あるいはお父さんが仕事に復帰できるという、そういう状態をいつでも利用できるという状態をつくっていく必要があろうかと思います。 そういう中で、公立や民間の中でその枠が大きく広がっていくことが一番望まれることなんですけれども、最近ちょっとほかの自治体で目にした制度なんですが、京都で行われている制度です。これは昼間
里親制度といいまして
--チュウカンというのは昼間と書くんですが
--里親制度というこのネーミングがふさわしいのかどうかというのはちょっと疑問があるんですが、個人のお宅を開放して、そこで少人数の
子供たちを預かると。その個人のお宅も、その保育に当たられる人は一定市なり市町村なりで資格要件をつくって、その保育に当たっていくと。そこにちゃんと措置費として条例で決めた額をおろしていくと、こういう制度が京都なんかでは行われているわけです。 京都市はこの中で、新しく里親を募る中で、今まで無認可でそういう保育に携わってこられた方々も、この
里親制度の中へ同じように委託をしていくという、こういうふうに統合をしたわけです。ですから、京都市の中ではいわゆる
共同保育所というんですか、そういうのがないわけですね。だからこの昼間
里親制度、市の
委託制度の中で十分対応ができている、こういうふうに聞きました。これも私は、まあ苦肉の策には違いないんですけれども、その途中入所を
受け入れていくという点で一つの方法ではないかなというふうに思います。 特に、ゼロ歳児の場合は特別に定員を設けなければならないと思います。ゼロ歳児にも集団がありまして、集団のかかわりの中で
子供たちは日々育っていくわけですけれども、その集団がやっぱり小さければ小さいほど集団も小さい方がいいという考え方もあります。そういう中で、個人のお宅を開放して最低5人から8人、多くても8人という、そういう小規模なところで市が委託をするという、こういうこともひとつ研究の対象に入れていただけないかなというふうに思います。 それで、
乳児保育に関しては以上、要望をしておきたいと思います。 次に、
区画整理の問題です。 まず、説明会の持ち方なんですけれども、ちょっと資料をいただきました。説明会でどんな資料を当局が配布をされたのか、それから
アンケートですけれども、どういう
アンケートをとられたのかということで見せていただきました。 往々にして
区画整理事業というのは、今まででも全国の中で、各地でやられてきているわけですけれども、その中でやっぱり長い年数がかかる。それは、やはり減歩という形で土地をある程度無償提供しなければならない。それが、個人の方たちは多いと思う人もあるだろうし少ないと思う人もあるだろうし、そういう
利害関係の中で、やっぱり事業がなかなか進みにくいという性格を、やはり率直に言って持たざるを得ない、そういう事業であると私は考えています。ですから、事業に入る前に、説明会でどこまではっきりしたことを住民の人々に知らせるのかということが、これは決定的ではないかというふうに考えています。 ところが、この資料を見せていただきますと、確かにその
区画整理の概要というのはわかります。大体どういう形で
区画整理が行われるのか、対象は大体どの地域なのか、どこに道路が通って、どこに公園ができる、公共施設はここに建つ、そういう大まかなことはわかります。 しかし、私が聞いているところによりますと、説明会を聞いていなかった方々、あるいは聞いている人たちの中でも、例えばこの
東部地域の
区画整理の中には市駅小倉線あるいは松島本渡線という
幹線道路が計画をされているわけです。その
幹線道路に隣接もしくは面するところしか関係ないと思っている人たちが非常に多いわけなんですね。だけど
区画整理という事業の中身は、もう少なく見積もっても80%の人たちが家屋の移転をしなければならない、それに減歩もかけられる。そういうことの中で、例えば減歩率が何%であるとか、それから家が今度どこへ移るとか、そういう細かいことは確かに事業を決定しなければわからないということもあろうかと思います。しかし、実際に減歩をされるという中身、それから少なく見積もっても80%の家屋が移転をする、大体そこの地域に減歩はされても住んでいられるかどうかということとは別問題なんですね。ところが、そこの地域に住んでいらっしゃる住民の方々は、その
幹線道路に面するところ以外は、僕は関係ないと、うちはだから関係ないと思っていらっしゃる方が非常に多いということがわかったんです。 それで、今も言われておりましたが、来月早々にも
区域決定を行う、
都市計画決定を行っていく、遅くても今年度中にというふうにおっしゃっておられましたが、この法的な手続、
計画決定をおくらせてでも、事業は住民との合意の上で始めなければならないというふうに考えます。こういう点で、説明会を事業を始める以前にもっと詳しく持つ必要があると私は考えておりますので、その点で、もう一歩踏み込んだ答弁をお願いをいたします。 それから、説明会の内容は今も申し上げましたとおり、概要についてということではなくて、住民が本当に知りたいこと、例えば住居が移ることであるとか、平均減歩率が何%ぐらいあるのか、そういうことをきちっと知らせていき、しかも住民から要求があれば速やかに説明会を開くという、そういう体制を常に持っていただきたいなあというふうに思います。 それと、
アンケート調査で思ったんですが、この
アンケート調査で75%の賛同を得られたと、そういうことの中で、この事業を決定していくんだということを前の質問でもお答えをいただきました。今回もそういうことで進められるようでありますけれども、この中で私が非常に疑問に思ったのは「まちづくりの内容についてお尋ねをします」という点です。 この中で、例えば「調査区域を和歌山市の副都心としてふさわしく整備することについてどうお考えですか」、あるいは「大門川を緑と水の親しめる空間として整備することについてどうお考えですか」、あるいは「排水をよくするため、排水路を整備したり調整池等を設置することについてどうお考えですか」と。これはもう「はい」と答えるしかない質問だと私は思うんですね。排水路を整備してほしいというのはみんなの要求です。
東部地域はまだまだ下水道が整ってはいません。そういう中で下水道を整えてほしいというのは、何も
区画整理に頼らなくても皆さんが願っていらっしゃることだと私は考えています。大門川にしても、緑や水の親しめる空間として整備をしてほしいのは、それはみんなの願いだろうと私は思います。だれも今のままで、例えば危ないという状態を放置していいかといったら、決してそんなことはないと思います。 こういう
アンケートの中身で75%の賛同が得られたというふうに判断していいものかどうかという点で、私は非常に疑問があります。こういう
アンケートをとって75%の賛同を得られたけれども、しかし、
区画整理が本当にこの地域になじむのか、あるいはその住民の人たちが本当にこの地域を
区画整理をもって面的な整備で、自分たちの土地を減歩してでも、多少減歩してでも、あるいは移転をしてでも
区画整理でやってほしいということを最終的に決めるのは、私はそこに住んでいらっしゃる住民の方々であろうと思うんですね。ただ、市はこれを計画として一応これが一番よりいい方法だろうということで計画を発表されたとは思います。しかし、今の時点でなかなかその合意を得られるというところまでとても行っているとは判断私はできないと思いますので、そういう点で、より懇切丁寧な説明会を事業決定の前に持っていただけるということを、もう一度繰り返してお願いをしたいと思います。 それから、職員配置の問題ですが、組織体制の充実ということでお答えをいただきました。例えばこの
区画整理事業というのは、皆さんも御存じのとおり、一番短い期間でも10年は最低かかると言われています。長いところに至っては、もう30年、もう今の世代に話をしても無理やから、もうここにいてる孫に話してやってくれと、そういうことを言われる住民の方々もおられるぐらい、それぐらい長い期間がかかるのが
区画整理事業だというふうに聞いています。そういう中で、やはり直接住民の方々と話をしていく、そういう職員の方々をやっぱりふやしていかなければならないし、それもころころと
担当期間が短くて変わってしまうのでは、前の話をしている住民とのコンタクトがなかなかとりにくい状況が起きるだろうと思います。そういう点で、研修体制の充実も強めていただきたいですし、それから、できるだけ同じ職員をそこに専門的に配置をして、専門的に話をできるだけ聞くと。 で、
区画整理は、先ほども申しましたけれども、いろいろな
利害関係が伴うということも事実です。そういう中で、やはり
感情の行き交う、そういうことを一つ一つ、やっぱり職員の方々が丁寧に聞いていく必要がある、そういう事業だろうと思います。そういう中で、できるだけ専門的な配置の仕方、それから、一人ではとても進められないというふうに1問でも言いましたけれども、ぜひとも早急に組織体制の充実を図っていただきたいなというふうに思います。 それと、市駅小倉線に関してです。
区画整理の中で、まあ面的な整備を行っていく中でこの
幹線道路を通すんだということを御答弁いただきましたけれども、先ほども申しましたが、
区画整理はスムーズに進んでも10年はかかります。もしいろいろと難航をいたしますと30年も40年もかかる。そうすると、この東西を抜ける和歌山市の中でも主要な
幹線道路と言われているこの市駅小倉線、これを本当に
区画整理で進めていく方法が正しいのかどうか。住民の人たちは、交通渋滞の緩和であるとか、そういう部分を早く解消するために、まずこの市駅小倉線の開通を早期に願っているというふうにいろいろ御意見を伺っているところであります。 和歌山市にとってもこの市駅小倉線は非常に大切な道路であることからも、面的整備という点では、住民の要求があれば、その片側ずつからでも私はやっていけると思うんですね。事実、跨線橋の部分とかそれ以前の部分は買収方式でやったという部分もあるわけですから、この道路を区域除外してでも買収方式に切りかえて、
区画整理方式から外す。それで
区画整理は、この道路とは別に行っていくということも十分考えられることだと思います。こういう点で、もう少し研究していただけないかどうか御答弁をいただきたいと思います。 以上お聞きいたしまして、2問を終わります。(拍手)
○議長(岩城茂君)
宮本都市計画部長。 〔
都市計画部長宮本忍君登壇〕
◎
都市計画部長(宮本忍君) 17番
森下議員の再質問にお答えします。 まず最初に、事業に入る前に十分な説明会をせよということなんですけども、この説明会につきましては、平成の3年に7回、それから平成6年7回、合計14回やっておるわけなんですけども、この説明の中でもいろいろと、その換地、減歩の問題、また換地するにもですね、玉突きによる換地をやるという説明も行っておるんですけども、その地権者の方々、また関係者の方々にですね、十分御理解得られなかったということは非常にまあ反省しております。 それからですね、この説明については、今後事業決定を打つ前にですね、再度きめ細かい説明会を行っていきたいと。それから、換地の設計をやったときに、個々にですね、説明会も行っていきたいと、そう思っております。 それから、市駅小倉線について、
区画整理事業以外の、例えば街路事業で行ったらどうかということでございますけれども、これにつきましては、あくまでも、先ほど市長が御答弁申し上げましたとおり、面的な整備、
町づくりについては、これはまあ
区画整理は一番いい方法でございます。街路事業でやると、要するに線的な整備、線的な整備だけになってしまうということもございます。それで、まあうちも、あくまでもこの
区画整理事業でやるということは、この
区画整理事業の中で、まずこの市駅小倉線上を、地権者方と十分話し合いながらまず先にその本線を、
幹線道路をつけていきたいと、そう思っておりますので、御理解賜りたいと思います。 以上でございます。
○議長(岩城茂君) しばらく休憩します。 午前10時51分休憩
-------------- 午後1時13分再開
○副議長(高垣弼君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 日程第2の
一般質問を継続し、浦哲志君の質問を許します。--20番。 〔20番浦哲志君登壇〕(拍手)
◆20番(浦哲志君) 議長のお許しをいただきましたので、質問させていただきます。 先般、委員会視察のため、開港間もない関西国際空港を利用いたしました。和歌山市民の待望久しかった関空は、期待どおりの施設、設備で、まさに世界に通ずる玄関口として私たちに大きな夢を与えてくれます。しかし、同時に、これまで巷間よく言われてきた扇風機の裏側になりはしないか、いや、なってはいないか、私たち市政に携わる者の大きな責任と役割を感じました。 そういった意味からも、私の質問は、市長就任以来、常に掲げてこられた「国際文化都市和歌山」という市長の一つの方向づけについて、総論的にではありますがお伺いすると同時に、この大切なときに、あえて和歌山市の長から和歌山県の長へ進もうとされている市長の姿勢についてお伺いしたいと思います。 「すべての政治は地方政治である」と言われて久しく、地方分権というテーマがさまざまな論議を呼んできました。他方「すべての政治は国際政治である」という、一種相反するような言葉も急速に台頭してくるようになりました。日本国憲法の前文にも、「国際的に名誉ある地位を占めたいと思う」とあります。大きな舞台では、湾岸戦争を契機とした国連の常任理事国入りがかんかんがくがくと論議され、また、各地方都市も世界のそれぞれの都市と姉妹都市友好関係を結ぶなど、今や「国際化」という言葉は常識のようになっております。 世界へ目を移しても、主権や国境の影が薄くなり、例えば東欧の国々の革命の連続は、国際化、特に情報の国際化がその因であったと思います。これは、政治の生命は情報を軸にした国民の政府に対する信頼にあり、政治が情報世界での足場を失ったとき、政治そのものが崩壊するという実例でありました。言いかえると、情報が中に閉じ込められず広範囲で見られている、知られているというのは大きな影響を与えるということです。 話が飛躍しましたが、そういえば、市長は新宮や串本に行っても「あれ、和歌山の市長さんではないですか」などと、いろいろと親切にしてもらうそうです。なるほど、いい面、悪い面含めて情報の話題になり、その情報が拡大することをプラスに持っていく能力、手腕は、まさに現代の政治家、広く言えば国際人なのかもしれません。私たちも視察に行く先々で「いろいろと大変ですね」と、褒めているのか同情されているのか、それとも……。まあいずれにしても、少なくとも気の弱い私は肩身の狭い思いをしました。(発言する者あり) 話を戻します。 国際化ということは、いつの時代であれ確かに一種の同一化、平等化という要素が含まれてはおりますが、それだけではなく、文化と伝統、習慣、いろいろな違いに基づく緊張関係の上で共存の余地を保つという努力も求められるものです。いわゆる相互理解という条件があって初めて国際化という用語が使用されるわけで、例えば、国際空港が近くに来たからといって国際都市になれるわけでもありません。また、姉妹都市縁組をして海外に行き来することが国際化でもありません。海外に行ったことのない人でも、いわゆる国際人としてなり得る人も多いと思います。 国際化の基本はアイデンティティーであろうと思います。君はだれだ、君たちの町はどうだ、君たちの国はどうだと聞かれたときに、私はこうだ、私の町は、私たちの国はこうだと主張でき、同様に相手のことも理解できる。つまり文化の相互理解から始まるのではないかと思います。 先日、ある本で、三枝成彰というアカデミー賞を初め数々の受賞をされている音楽家の方の文の中で、「音楽の世界でも日本人はオリジナリティーがない。日本人ならではの演奏ができない」と言われておりました。つまり、日本では西洋に迎合することを本物志向とし、個性もなければ本物にもなれないという状況を生み出しているというのです。そして「今はこうした間違いに気づき、もっと日本人としてのアイデンティティーにこだわろうとする人がふえてこそ、本物、大家が生まれる」と結んでおられます。 本議会でも以前、先輩議員から和歌山市はオンリーワンを目指すべきではないか、和歌山のオリジナリティーの確立が必要ではないかとの御意見がありましたが、まさにそのとおりであろうと思います。 また、時折ラジオから流れてくる子供の素朴な問い「和歌山って何だろう。私たちの和歌山を教えて」というテーマは、我々政治に携わる者にとって真剣に考えていかなければならない基本的なことだと思います。 今、市内のあちこちで、「チェンジ」「ジャンプ」、つまり、変えよう、飛躍しよう、という用語をよく見かけますが、市長はこの和歌山をどのように変え、どのような方向へジャンプさせようとしているのでしょうか。国際文化都市和歌山を常に標榜してこられた市長は、私は、先ほど来申してきました国際的にも通用する文化、和歌山のオリジナリティー、オンリーワン的な魅力を育てなければならないと思いますし、その
環境づくりも当然必要です。つまり、文化と文明との調和を図ることが基本的に必要だと思います。 そこで、この国際文化都市論、市長の描かれる国際とは何か、どのようなことか、和歌山の文化とは何か、文化というものに対しどのような意識を持っておられるのか、お伺いをしたいと思います。 そして、関空開港が和歌山を世界に売り出す絶好のインパクトとしたいということを常々言われておりました。私は、関空ができたからといっても、国内外からの人々が文化や歴史を求めて京都、奈良へ、近代的なレジャー、アメニティーを求めて神戸、大阪へというのであれば、まさにせっかくのチャンスを手をこまねくだけの、取り残された存在になると思います。現に、視察の帰り、空港からのバスはラッシュ時のようでありましたが、南北の分岐点では他の車はすべて大阪・神戸方面、和歌山方面のバスは私たち1台だけという、寂しい気がしました。 しかし、何はともあれ、昨日来この本会議場でも先輩・
同僚議員が言われておりますように、リゾート博は大盛会のうちに終わりました。その分析はこれからいろんな角度でされることと思いますが、この博覧会は、リゾート博協会みずからが言っているように、あくまできっかけを提供するわけで、この72日間の催しだけで満足しては意味は半減するものであります。お祭り終わって後はしょんぼりなどと言われないためにも、ポスト・リゾート博、しかも関空効果を最大限に利用した施策が必要となるのは論をまたないことだと思います。 折しも9月30日付のある週刊誌では「関空、好敵手物語」と題して、関空挟んでの海洋都市、神戸と和歌山のライバル観光行政と特集を打っていました。神戸では、ウォーターフロントを中心とした都市型の観光スポットとして、国内線の拠点とする2003年開港の神戸空港、そして98年の明石海峡大橋の開通で大阪湾ベイエリアの交通体系へのリーダーシップなど、ビッグプロジェクトの準備が着々と進められている。和歌山は、あくまでポスト・リゾート博の跡地、いわゆる海上リゾート都市としてのPR、自然志向の観光云々と載せられておりました。 リゾート博後のマリーナシティは、民活によりハイクラスのリゾートゾーン構想が発表されているようですが、市としての考え、対応等についてどのように考えておられるのか。また、改めてリゾートという意義をどのようにとらまえておられるのか、お伺いをしたいと思います。 それから、どちらにも関連することと思いますが、今年度から紀淡連絡道路に関する調査費用を設けていただきましたが、この第二国土軸構想の中の紀淡海峡ルートに対する市長のビジョンも承りたいと思います。 これは、御承知のとおり、第一次国土軸に比べ各都市にいかに魅力を持たせるか、一つ一つの町のアイデンティティー、特色が世界に通ずる普遍性を持つような地域文化の醸成が目指されております。ですから、単に和歌山と淡路に道をつくるという問題ではなく、もっと広い意味での新しい生活文化の創造が求められております。この新しい交通軸が、伊勢湾、紀淡海峡、豊予海峡等の海峡横断部の連携を深めることによって、新たな海峡交流圏とでも言うのでしょうか、新しい文化の創造が求められております。 この構想は、質の高い交通の実現が必要とされているわけですが、これを機会に河西地区全体から市内へ通ずる道路建設の構想、つまり青岸橋を利用して加太、さらに言えば空港まで通ずる湾岸道路のお考えはないか。先ほど申しました紀淡連絡道路のビジョンとあわせましてお伺いしたいと思います。 次に、別の角度から市長の政治姿勢ということでお伺いします。 個人的なことで大変恐縮ですが、私は、大学入学最初の授業で「法と道徳について書け」というテーマを与えられ、率直な気持ちで、法律万能主義の風潮を批判しつつ、倫理・道徳に重点を置いた、つまり仁・義・礼・智・信という五徳を力説し、論文として提出しました。1週間後のそのクラスで「法学部に入りながら法を軽視する者がいる」ということで私だけが0点で、何か複雑な気持ちになったことをいまだに鮮明に覚えています。今振り返ってみると、教授の言うことは当然のことですが、古代から論議されている性善説、性悪説は私たち人間世界での永遠のテーマであろうと私は思います。 そういった経験からか、また武道を通じてか、または出身地の佐賀の葉隠武士道という影響からか、封建制の時代に確立されたものとはいえ、武士道という言葉は私の一つの指針としております。先輩・
同僚議員には一笑に付されるかもしれませんが、私自身は日本文化の一つのアイデンティティーだとも思っております。 テレビでは現在も水戸黄門、大岡越前、遠山の金さんなど、いわゆる正義の道理を説く内容は単純ではありながらも高い支持を受けているというのは、それが日本人の琴線に触れる大きな文化であろうとも思っています。 その武士道の基本原理は、義--正義の義です、勇--勇気の勇、仁--仁義の仁、礼・誠・忠義といったものですが、孔子も論語の中で「義を見てせざるは勇なきなり」と述べ、勇気というものが義によって発動されるものでなければ徳行の中に数えられる価値ではないことを古くから喝破しています。これは、勇気とは正しいことをすることであるということになりますが、あらゆる種類の危険を冒し、生命を賭して死地に臨むこと、これはしばしば勇猛と同一視され、武器及び権力を持つことを職業とする者にあっては、そのような向こう見ずの行為が不当に称賛されています。西洋でも、かのシェークスピアはそれを「勇猛の私生児」と名づけているそうです。要は、古今東西を問わず「大義の勇」と「匹夫の勇」、この差は大きな隔たりがあります。 大義の勇--私は、今回の市長の知事選出馬、あのような状況の中で生まれた突然の声明は、市長にとっては広く和歌山市、和歌山市民のため、つまり大義の行動であろうと思います。いや、そうでなければならないはずです。「今、起ち上がらなければ」とかチェンジという表現で「今」を否定し、新しいものを求めて立ち上がるという呼びかけの底には、何らかの市長自身のパッション、やむにやまれぬ、それこそ義を見てせざるは勇なきなりとの動機があろうと思います。 あなたは和歌山市の長です。和歌山市民を含め和歌山市全体の発展、幸せのために選ばれたリーダーです。あなたは美しい和歌山実現のため、市民にも広くモラルを説いてこられた。ポイ捨て禁止、工場排水の色規制、放置自動車等の問題においても罰則規定まで設けてこられたわけですが、これもあなたなりの大義のためになせる行為であったろうと思います。 市民に義務を説かれたように、あなた自身も市長としての義務を果たしていかなければなりませんが、果たして和歌山市長としての義務は果たしてこられたのでしょうか。また、広く市民、いや県民にも、立ち上がろうと呼びかけておられるわけですが、その蜂起を促す大義とは何でありましょうか。 また、首長が出馬の有無の声明をするのは議会であるべきと私は思いますが、まだ正式な形での声明は、どれであったのか私にはわかりません。6月の市長選の出陣式の際の声明で、支持者の前で訴えられたわけですが、あなたの支持者だけが市民ではありません。先般の議会で先輩議員が指摘された点も含め、堂々と議会で発表すべきと思いますが、いかがでしょうか。この機会に私たちにもぜひ、大義とともに市長としてのビジョンなりを示していただきたいと思います。 以上、市長がよく言われる「輝く21世紀に向かって飛躍する和歌山」に向けて、その大切な役割を担うリーダーとして、その指針、ビジョン、市長の政治姿勢となりをお示しいただきたいと思います。 1問目を終わります。(拍手)